デイサービスの中には、利用者が子ども中心の施設もあります。高齢者対象のものが圧倒的に多いので、どのような場所か分からない人もいるかと思います。なので、今回は児童デイサービスについての利用時間や職員の話、今後の課題・問題点を解説します。
発達障害の児童などが利用する児童デイサービスとは?
児童デイサービスとは、児童福祉法の中で位置づけられています。障害がある子どもを対象に、学校が終った後に預かる場所と言えます。特別支援学校にいる子どももいれば、普通学校に通学している人もいます。知り合いでも、児童デイサービスを利用している人がいます。発達障害のある子どもです。保育園までは延長保育を利用しながら夜遅くまで働いていましたが、小学校に入学すると児童デイサービスを利用しています。
障害のない健常児とよばれる子どもは、学童保育を主に使っています。たいてい、子どもの数が多すぎて一人一人に対応ができません。障害のある子どもの場合、個別ケアが必要になるため、学童保育に入りずらいのが現状です。
児童デイのメリットと利用条件
児童デイサービスでは、補助金をもらって運営しているため指導員も多く配置できるのがメリットです。そのため、障害のある子どもの多くが児童デイサービスを利用しています。児童デイサービスを利用するためには、療育手帳などの手帳を持っていることが条件となります。
また、日数制限があり月に利用できる日数が決まっています。親としても、安心して働きに行けるころとがメリットと言えます。
児童デイサービスの利用時間・職員
児童デイサービスの利用時間は放課後がメイン
児童デイサービスは学童保育と同じようなサービスをしています。平日は放課後から、休日は一日子どもを預かっています。そのため、児童デイサービス単体で事業を行っている所は少なく、他の事業も行っていることが多いです。飲食店を運営していたり、富山型デイサービスで様々な利用者がいたりなど、運営はまちまちです。形態はNPO法人であることが多いです。
児童デイの職員は通常のデイと同じ?
通常のデイサービスの職員についてはこちら(デイサービスの職員)で書かせていただきました。では、児童デイサービスはどうかというと、職員は保育士や看護師が配置されています。利用者が子どもであるため、保育士が必要となります。
また、脳性まひや胃瘻のある子どもなど、医療ケアの必要な子どももいるため、看護師も必要とされています。
高齢者への対応以上の安全性を求められることも
障害の種類も様々であるため、ひとりひとりに合わせた保育が重要になってきます。例えば、脳性まひがあり常時車イスに乗っている子どもと多動がある発達障害の子どもがいると事故やケガが起こる可能性が高くなります。
健常児と比べて、安心で安全な場所作りが大切となってきます。高齢者中心のデイサービスも安全さが求められますが、それ以上に大切であると言えます。また、健常児と比べて環境の変化に弱く、体調を崩しやすいです。看護師に求められている役割も大きいです。
就労への足掛かりとなる児童デイサービス
児童デイサービスは親が働いている時間帯に預かる場だけでなく、将来就労することに向けた取り組み・支援を行っている児童デイサービスもあります。
児童デイサービスから巣立っていく子供たち
児童デイサービスは18歳までの子どもが利用でき、その後は様々な進路に分かれます。一般企業で働く人、作業所で働く人、グループホームに入所する人など様々です。就労する人は、障害があっても比較的軽度の子どもが中心となります。
児童デイサービスで就労の手助け
就労に向けた取り組みを行っている児童デイサービスとして、カフェなどの飲食店を兼務している事業所があります。料理や掃除、接客などの仕事を職員と一緒に行っています。中には、そのまま働いている人もいます。富山型デイサービスの中にも障害のある人が働く制度があります。洗濯や料理、掃除などの仕事は日常生活と関連性が高いため、障害のある人でも取り組みやすい職場であると言えます。また作業所と比べて賃金が高く設定されているため、満足度が高いです。
特別支援学校と児童デイサービスの連携
特別支援学校と児童デイサービスが連携して取り組んでいる場合もあります。支援学校高等部になると、就労に向けた授業が多く行われています。覚えた就労スキルを、児童デイサービスで実際に使ってみるような取り組みが行われています。このように児童デイサービスも単に子どもを預かる場所だけでなく、将来に向けた取り組みを行っています。
富山型デイサービスで運営される児童デイサービスの長所・短所
児童デイサービスの中には富山型デイサービスの中で運営されていることもあります。富山型デイサービスについての解説はこちらでしていますので、ご存じない方は確認してみてください。
なぜ富山型デイは児童デイと同時運営できるのか
富山型デイサービスで行っている事業の一つとして、児童デイサービスを行っている事業所があります。富山型デイサービスは、もともと赤ちゃんからお年寄りまで誰でも利用できる施設というコンセプトであるため、障害のある子どもも利用しています。
富山型デイは富山県内で最も数が多いですが、地域によっては児童デイサービスの数が少ない所もあるため、富山型デイサービスが重宝されています。富山型デイサービスでは、児童デイサービスの他に介護保険など複数の事業を行っています。そのため、児童デイサービス単体だけでは運営が難しいという短所はないと言えます。
長所と短所はあるの?
様々な人と関わりが持てるという反面、高齢者と一緒の空間にいるため問題も起こりやすいです。例えば、多動や自傷行為のある発達障害のある子どもの場合、見た目では障害があるとはなかなか分かりにくいため、高齢者から批判される(怒られる)場合もあります。また障害のある人と接する機会が少ない高齢者は交流しづらい場合もあります。
児童デイサービスは原則18歳までの利用とされていますが、富山型デイサービスの場合、18歳を超えると障害者自立支援法のサービスを使って利用ができるため、年齢に制限がなく利用ができることがメリットです。また、上でも書きましたが、児童デイサービス単体での運営ではないので、収益を上げやすく経営がしっかりしやすいです。
児童デイサービスの今後の課題・問題点
障害のある子どもが対象の児童デイサービスは、障害を持つ子どもの親にとってはなくてはならない施設で、重宝していることもあります。ですが、児童デイサービスにも課題・問題点もあります。
県・地域でサービスの質や数、整備体制に差
一つは、都市と地方では質や数に差があります。都市では交通網が発達している上に児童デイサービスの数も多く、自分にあった施設が選べる場合が多いです。
しかし、地方ではまだまだ整備が遅れています。児童デイサービス単体では経営が安定しないため、他の事業と兼務することが多いですが、地方では仕事が作りずらく児童デイサービスとして安定しないことが多いです。国からの補助金もありますが、少子化の影響で子ども分野に充てられる補助金も少なくなっており、児童デイの運営にも影響が出てきています。
求人してるのに、絶対的な人員不足。
2つ目は、職員の確保です。保育士や看護師が必要となりますが、足りていない施設もあります。都市部になると、保育士の数が足りていなくて待機児童が多いという問題があります。児童デイサービスも同様で、保育士を募集しても応募者が少ないという問題があります。地方になると、賃金が安いという問題もあります。
共働きの親が増加しているため、児童デイサービスを利用する子どもも増えると考えられています。
そのため、児童デイサービスの拡充も求められています。